牛乳の廃棄量はどのくらい?廃棄を減らす対策とリアルな酪農家の声も紹介!

牛乳廃棄量アイキャッチ

冬になると、牛乳の消費を促すニュースを目にしたことはありませんか?

学校給食が休みに入り、寒さで冷たい飲み物が敬遠される冬。

実は、1年で最も牛乳が余り、廃棄の危機に瀕する季節です。

2026年の今も、現場では「丹精込めて育てた牛の乳を、自らの手で捨てなければならない」という過酷な現実が続いています。

一体、日本全体でどのくらいの牛乳が廃棄されているのでしょうか

今回は、最新の廃棄情報とともに、酪農家さんのリアルな葛藤、そして私たちにできる解決策を紹介します。

みずのくるみ

この記事のパートナー

みずの くるみ

牛プロデューサー

1997年福井県出身。畜産関係の大学に通う中で、学校の牛に一目ぼれして以来、牛が大好きに。現在は、牛と人の境界線を溶かすをビジョンに、イベント企画や販売サポートなどを行っている。

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目次

牛乳廃棄問題とは?

牛乳廃棄問題とは?

牛乳廃棄問題は、私たちが日常的に口にする生乳が消費されずに捨てられる深刻な社会課題を指します。

本来は栄養豊富な食品として活用されるべき生乳が、需給バランスの崩れによって行き場を失っています。

国内では、食品ロスの削減が急務とされる中で、この問題の解決が強く求められています。

具体的な定義としては、市場の需要を上回る生乳が生産され、飲用や加工の枠を超えて処分される状態です。

多くの消費者は、スーパーの棚に並ぶ牛乳を見て、常に安定した供給があるものと確信しています。

しかしその裏側では、酪農家が飼料価格の高騰複雑な需給調整に翻弄されている現実があるのです。

日本の牛乳廃棄量はどのくらい?現状のリアルを解説

日本の牛乳廃棄量はどのくらい?現状のリアルを解説

日本の生乳廃棄量は、年間の需給バランスや社会情勢によって変動しますが、常に廃棄リスクと隣り合わせの状態にあります。

特に2021年末から2022年始にかけては、新型コロナウイルス感染症の影響による需要減退により、5,000トン(約20万人分)の生乳が廃棄の危機に瀕したことが大きな話題となりました。

2026年現在も、物価高騰による消費控えや、輸出の停滞などにより、需給調整は極めて困難な局面を迎えています。

農林水産省は、余剰生乳の長期保存を可能にする加工業への加工賃支援を行ったり、消費拡大を促すプロジェクトの実施などの策を講じています。

また、近年の日本の年間生乳生産量は、概ね7,500,000トン前後で推移しています。

このうち、約4,000,000トンが飲用牛乳として消費され、残りがバターや脱脂粉乳などの乳製品に加工されています。

みずのくるみ

生乳(殺菌前の搾りたての牛乳)は、栄養価が高く細菌が繁殖しやすいため、冷蔵で保管したとしても、4時間以内に殺菌処理等の次の工程に進む必要があると法律で定められています。

n!cecream 岸

そんなに厳しいんですね…!

みずのくるみ

そのため、4時間以内に加工されない乳は廃棄せざるを得ない…。酪農家さんが絞った乳を出荷できずに廃棄する裏側にはこのような法律の壁もあります。

\ 生乳の出荷内訳はこのように!/

生乳の出荷内訳
牛乳乳製品統計調査 / 確報 令和6年牛乳乳製品統計

牛乳を大量廃棄せざるを得ない理由

牛乳を大量廃棄せざるを得ない理由

日本の酪農現場において、年間の生乳廃棄リスクは常に課題と言われています。

政府は、この危機を回避するために「加工原料乳生産者補給金制度」を通じ、飲用で余った生乳をバター等へ加工する際の差額を補填するなどの対策を講じています。

しかし、物理的な保管限界や需要の急減により、この公的支援だけではカバーしきれない局面が存在します。

ここでは、牛乳を廃棄せざるを得ない理由を3つ紹介します。

理由①|季節要因による需要減少

牛乳の消費量は、季節要因で大きく変動します。

特に、学校給食が停止する冬休み期間は、1日あたり約2,000トンの需要が消失するとも言われています。

さらに、冬季は気温の低下に伴い、家庭内での飲用や飲料スタンドでの消費も年間平均より15%程度落ち込む傾向にあります。

一方で、年末年始や大型連休は物流網も休日体制に入るため、生乳を迅速に運搬・処理することも難しく、それによる廃棄量も増加しています。

理由②|生産のコントロールが不可能

乳牛は工場で作られる工業製品ではなく、生き物です。

一度搾乳を開始した牛は、毎日決まった時間に乳を搾らなければ、乳房炎という命に関わる病気を発症するリスクもあります。

需要が減ったからといって、蛇口を閉めるように搾乳を止めることは生物学的に不可能です。

酪農家は、明日捨てられるかもしれないと分かっていても、牛の健康を守るために毎日搾り続けなければなりません。

この「生産の硬直性」が、需給調整の困難性を高めています。

みずのくるみ

子牛から乳が絞れるようになるには、約2年間の育成期間が必要です。このようなことも需給調整が難しい要因でもあります。

理由③|在庫の限界

飲用として余った生乳は、長期保存が可能なバターや脱脂粉乳へと加工されます。

しかし、日本国内にある乳製品工場の処理能力には、1日あたりの物理的な上限が定められています。

さらに、加工された製品を保管する倉庫のキャパシティにも限りがあります。

政府による買い上げ支援などの対策も講じられていますが、消費が伸びなければ、在庫は最終的に廃棄となるのです。

私たちにできる牛乳廃棄を減らすアクション

私たちにできる牛乳廃棄を減らすアクション

牛乳の廃棄問題を解決するためには、生産現場の努力だけでなく、消費者の主体的な行動が不可欠です。

一人ひとりの選択が積み重なることで、需給バランスの安定に大きく貢献できます。

ここでは、具体的な廃棄削減アクションを紹介します。

アクション①|家庭での牛乳消費工夫を実践

牛乳をそのまま飲むだけでなく、料理の素材として日常的に活用することが、消費量を底上げする近道です。

特に冬場は、冷たいまま飲むのが難しい季節であるため、加熱して摂取する習慣を作ることが重要です。

スープやシチューのベースとして水の一部を牛乳に置き換えるだけで、コクが増し、栄養価も高まります。

こうした小さな「プラスワン」の意識が、全国規模で見れば数千トンもの廃棄を防ぐ力に変わります。

また、買い物をする際の意識を変えることも極めて効果的です。

スーパーなどで商品を選ぶ際、すぐに使う予定があるならば、あえて棚の手前にある「期限の近いもの」を手に取る「てまえどり」を実践してください。

これにより、店舗での廃棄ロスを直接的に減らすことができます。

アクション②|乳製品の消費を積極的に行う

生乳そのものの消費が難しい場合、アイスクリームやチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を積極的に選ぶことも立派な支援になります。

乳製品は、生乳に比べて格段に保存期間が長いため、需給の「時間差」を埋める役割を果たします。

特に、冬場の余剰生乳を活用して作られたアップサイクル製品を選択することは、酪農家の経営を直接的に支えることに直結します。

さらに、成分調整がされていない高品質な乳製品を選ぶことは、日本の酪農の質を維持することにも繋がります。

自分の好みに合ったお気に入りの乳製品を見つけ、リピート購入することが、持続可能な酪農への投資となります。

\ おすすめのアップサイクル商品!/

私たちn!ce creamは、
牧場提携の製造体制を持つことで
余剰生乳をアイスクリームへと
生まれ変わらせています。

あなたの「おいしい!」という一口が、
そのまま酪農を守る支援へと繋がります。

まとめ

牛乳廃棄問題は、季節的な需要変動や乳牛の生理機能加工施設の限界が複雑に絡み合って発生する課題です。

2026年現在も、現場では「命の恵みを一滴も無駄にしたくない」という酪農家の切実な思いと、物理的な余剰という厳しい現実が隣り合わせに存在しています。

しかし、この問題は決して解決不可能なものではありません。

私たち一人ひとりが現状を正しく理解し、日々の購買行動を少しずつ変えていくことで、廃棄のリスクを減らしていきましょう。

私たちn!ce creamは、
牧場提携の製造体制を持つことで
余剰生乳をアイスクリームへと
生まれ変わらせています。

あなたの「おいしい!」という一口が、
そのまま酪農を守る支援へと繋がります。

岸はつみ

この記事の監修者

岸 はつみ

n!ce cream代表

「もったいないを減らし、おいしいを増やす」アイスクリームブランドn!ce cream代表。学生時代に農業に興味を持ち、大学卒業後は農業法人に勤務。自社農産物の加工品事業担当を経験し、現在はn!ce creamを運営。つくり手に寄り添うことを第一に、持続可能な農や食の在り方を模索中。

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